服装が自由化されたサウジアラビア、それでも黒衣装「アバーヤ」を選ぶ女性たちの思い

2022年1月31日 12時00分
 イスラム教の発祥地サウジアラビアは、イスラム諸国の中でも戒律順守の風潮が強く、全身黒い衣装を着た女性の割合が非常に高いことでも知られる。海外からは「女性に服装の自由がない」と思われがちだが、数年前に服装の規制は事実上撤廃され、実際は自ら選んで着ている女性が大半だ。若い世代には変化も見られるが、女性たちからは「風習を大切にしたい」との声も強い。(サウジで、蜘手美鶴、写真も)
サウジアラビアの首都リヤドで1日、アバーヤを着るもののファッション感覚で髪を見せる女性もいる

サウジアラビアの首都リヤドで1日、アバーヤを着るもののファッション感覚で髪を見せる女性もいる

◆黒い衣装の下

 1月初旬、首都リヤドの大型商業施設。女性服の店には丈の短いワンピースや斬新なデザインの服が並び、女性客が好みの品を選んでいた。目元以外は黒い衣装で隠れているが、買い物を楽しむ姿は「普通」の女性と何ら変わらず、最新ファッションにも敏感だ。
 サウジ女性の多くは、外出の際は全身を覆うロングコート風の衣装「アバーヤ」をまとい、髪は専用のスカーフ「ヒジャブ」で隠す。顔には目元以外を隠す布「ニカブ」を着ける人もいれば、着けない人もいる。アバーヤの下は思い思いの普段着で、家族の前や女性同士の場合はアバーヤなどは脱いで過ごしている。
 服を買いに来たニカブ姿の女子大生タマダさん(18)は「アバーヤのせいで『女性に厳しい』というイメージがあるかもしれないけど、私たちはファッションもメークも楽しんでいる」と目だけで笑ってみせた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。